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女と言うもの
2013 / 08 / 23 ( Fri )





「渡してるよ、離婚届」







彼はそのとき、そんなことを突然言ってヒカルを驚かせた。
ヒカルは何も知らないことだった。
もちろん、すべてを知る必要などないのかも知れないけれど、驚いた。







しかもそれは、ヒカルがこのときに聞くよりだいぶ前に、彼女に渡されていたらしい。







初めて彼が白紙のその届けを持ってヒカルに見せたのはいつのことだったろう。
あの頃は、二人で、何を書いたらいいか分からないね、と苦笑していたけれど
彼はいつの間にか、彼女がサインをすればいいだけの状態にして、相手に渡していた…




そして話はいつの間にか彼の家庭でのものに移っていた。




彼は、離婚届まで渡して、最後通告をしたつもりでいるのに、
家では話を始めようとした途端に相手が泣きだして、
話し合いにもならず、ただただ泣き、怒り、別室に行ってしまうらしい。




そして通常の状態では、離婚届を渡されたことなどなかったかのように、
完璧なほどにスルーされているとのことだ。





でも、彼にはそれも苛立ちの対象となり得るようで、
まったくうんざりしてしまって、「女」に対する気持ちをここまで頑なにしてしまった...




離婚届の話の衝撃は、そのときはまだそこまで来なかった。
でも、彼がそこまでしていたことに対しては、驚いて言葉もなかった。




私はただ、へたり込んだまま彼を見つめていた。
私はこれ以上、どんな言葉を待っているのだろう?





彼は彼で、こんな状況に困惑してるだけだ。
どうして女ってやつは冷静に話が出来ないんだろうと思ってる。
本当は、感情的に見える女の中に、冷静な打算が働いていることも知らずに。






私は女だから分かる。
彼の家庭での話し合いが、馴れ合いに終わっているように見えるのも、
本当はそう仕向けられていることに気付いている。

女は打算も持っているのだ。

泣きたい気持ちも確かに本当だろうけど、
そう仕向けて何となく家族としての一日一日を追加していくこと、
そうすることがいちばん賢いことにもきっと気付いてる…







ヒカルはそんな彼の足りなさも思った。
そう仕向けられているだけなのに、気付かない彼。
その上にこんな冷たいことまで言えるようになって…
純粋と言えば、それだけなのかも知れないけれど。






そんなことを考えている私を彼はどう思ったか、大きくため息をついて、こう言った。







「…俺が好きなら、ブレんなよ」







そう告げたときの彼の表情は、まだ少しうんざりしていた。
だけど、ヒカルを見据える強い目の光と、告げられた強い言葉とに私は幻惑されてしまった。







今まで以上に今度は素直に驚いて、目を丸くしたまま
その彼の言葉を自分の中で噛み締めた。
ゆっくり、ゆっくり。
それが持つ意味を確かめるように。







その言葉は、ヒカルが待っていた想像上の言葉に比べたら
もっと短く、でもそれだけにもっともっと強い気持ちを感じた...







確かにそうだ。
彼は話し合いがうまくいっていないことに疲れてはいるけれど、
それでも一度だって、もう疲れたとかもうやめたいとか言ったことはない。
はっきり口にして欲しい、そんなことを思っているのは私だけで、
そしてなぜか彼が言うだろう言葉が自分から遠いものだと思い込んでいるのも私だけ。







彼から見れば、ブレブレなのは私の方だったのだ。







ベッドによじ登って、彼の首に腕を回した。
そして無言のまま、そのままぎゅっと彼を抱き締めた。
ありがとう、と心からのごめんなさい、を込めて。







彼は私の腕の中、そのままの姿勢でほうっと息をついた。
やっと戻ってきたものに安心するかのように。







「俺だってな、いろいろ大変やねん。
だけど迷ったことは一度だってないよ…」







息をつきながらつぶやく彼に、私はただただうなずいた。
でも、この純粋すぎる彼に、奥様の打算を乗り越られるのか、実はちょっと、不安(苦笑
そしてこの先もブレない自信も、私には、ない(苦笑
女が不安を口にするのは、大丈夫だって言ってほしいだけなんだけど、
私だけでなく彼女もきっと、同じ気持ちなんだろうな...




分かるだけにちょっと、痛い。







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11 : 04 | 彼とのこと | コメント(2) | page top↑
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コメント
* 公私ともに *

激動の毎日でしたね、ヒカルさん。。。
またしてもまとめ読みさせて頂いて
内容の重さにちょっと驚きつつ…(^^;

お仕事のこと、
今はもう落ち着かれているでしょうけれど、
大変でしたね。

ディティールは違っても、
私も似たようなことがあり、
実はそれで転職したので驚きました。

人生、色んなことがあるもんですね。

>本当は、感情的に見える女の中に、冷静な打算が働いていることも知らずに。

(*^^*)ふふっ
怖ーい!
トシも見事に引っかかっちゃうだろうな~(笑)
女はただ泣きじゃくってるだけじゃないのですよねー
by: 香苗 * 2013/08/26 * 21:24 * URL [ 編集] | page top↑
* 香苗さん☆ *

香苗さん、コメントありがとうございます!
香苗さんも大変だったのですね...
転職を決意するなんて、よほどのことだったろうと思いますi-241

うふふ...怖いですよね、やっぱりi-237

我ながらここまでぶっちゃけていいのかと思いつつww
男の人は、トシさんでなくてもきっと引っかかっちゃいますよi-277
そこが、男性のかわいいところでもありますが^^

私は女なので、奥様の打算も見えちゃうのが厄介です(*´∀`*)ゞ
by: ひかりこ * 2013/08/30 * 13:04 * URL [ 編集] | page top↑
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