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苛立つ彼、その理由
2015 / 09 / 04 ( Fri )
無事にお引越し完了したので、前回の記事の続きです!
一緒にスパに行ったのに、なぜか機嫌を損ねてしまい、無言で帰宅した二人。
その理由は?(笑

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暗闇の中、背中を向けるヒカル。
困ったように溜息をつく彼。
闇の中でヒカルは静かに問いかけた。


私はどうすればよかったの?


「何が」


ちゃんと聞いたよ。どうして怒ってるのかちゃんと聞いた。
それでも何も言わずに怒って、私を置いていって、
そして今も勝手に眠ってしまうなら、私はどうすればいいの?
そう言うのぜーんぶ許してくれる人じゃないとダメなの?
そう言うあなたの勝手な振る舞いも笑ってしょうがないね、って
言える人じゃないとダメなら、私はもう、無理です。


「...何の話よ。寝ちゃったのは、ごめんって...」


闇の中で彼の声が聞こえる。
でも、基本的には沈黙していた。
なんだか疲れたような溜息ばかりで。


あなたは私なんか大事じゃないんでしょ?
私の気持ちなんてどうでもいいんでしょ。
自分の気持ちがいちばん、大事なんでしょ?
好きなように怒ったり無視したりすればいいじゃない。
私なんか放っておいて勝手に帰ったり寝たりすればいいじゃない。
今日だってちゃんと私理由を聞いたのに、話してくれない。
私はちゃんと向き合おうとしてるのに、あなたはそらしてばかり。


背中を向けているのをいいことに、ヒカルは言いたいことを言った。


何聞いても答えてくれなくて、自分の中だけで勝手に結論つけて、
そんで勝手に怒って無視して置いて帰って、訳が分からなくて。
私のことなんか大事じゃない、どうでもいいんだよ...


「違うよ」


何が違うの?じゃあ何に苛立ってたのかちゃんと話してよ。


彼は仰向けて手を胸の上で組み、闇の中心を見据えているようだった。
そして言い放った言葉は、ヒカルの心臓をぎゅっと切なくさせた。


「...金や」


その一言で、彼の苦悩は手に取るように分かってしまい、
ヒカルは完全に言葉を失った。


「言いたくないから、黙ってた。先を歩いていたけど、
お前がついてくるのはちゃんと見ながら歩いてたつもりや。
さっき眠ったことは、ほんと申し訳ないけど、ごめん」


「俺だってほんとはお前と一緒に岩盤浴だって一時間やりたかったよ。
でも我慢して30分にした俺の気持ち分かるか?」


私は言葉を失ったまま、今日の彼を思い出していた。
何か食べるか聞いても、薄い反応しかなく、岩盤浴だって30分でいいと言い張った。
私はイベント的に目一杯楽しみたいタイプだから、
そんな彼をノリが悪い、などと言って怒ったのだ。


でも、ノリが悪いんじゃなかった。
彼は彼なりに、苦しんで、悩んで、我慢していたのだ...
それを私ったら、なんて馬鹿なんだろう。


「いずれにせよ金の話はせなあかんけど、早く決断して欲しい。
そのことも、本当にイライラする...ってかそれがいちばん、イラッとすんな。
本当は俺だって、お前と一緒にもっといろんなことしたいし、
もっといろんなところに行きたいねん。
でも金の話は出来ない、かっこ悪いし、言いたくなくて...」


そう言って彼はまた背を向ける私に向き直って、手を伸ばした。
控えめに伸ばされた彼の手を、ヒカルは言葉もなく握り返した。
そして痛む胸を抑えながら、彼の苦悩をやわらげたくて、
その手を自分の肩に回して胸の前で抱き締めた。


「大事じゃない?大事やで。めっちゃ、大事や」


そう言って彼は私の腕ごとヒカルを抱き締めた。
私なんか大事じゃない、と言った言葉を受けて、彼はそう呟いた。


「絶対に手に入れたい。絶対にお前と幸せになりたい...」


そう言って力をこめる腕を、ヒカルもぎゅっと握り返した。
切なくて悲しくて、涙が出そうだった。
勝手だったのは自分だ。
彼に無理をさせているのも、私だ...


でも私を望む彼の気持ちも、彼を望む私の気持ちも、
どうしようもなくて、切なくてたまらなかった。
腰の辺りを撫でる彼の手を取って、暗闇の中彼の方を向いて微笑んだ。


ずいぶん、この体にお金かけちゃってるね。


そう言うと、彼はほんまやな、と笑った。
お金だけじゃなくて、人生かけちゃってるよ、と。


不倫ってはしかみたいなものだって言う。
いつか妻の元へ帰るものだと誰もが言う。
ただで出来る風俗のようなものだって。
一時期は、私も「安い風俗」と自分を貶めたこともあった。


でもこの瞬間にヒカルは分かった。
彼はこの体に、私と言う存在に、全部をかけてる。
お金も、心も、自分の体も、これからも、全部。
それは安いものでもなんでもない、途方もなく、大きなもの...
そう、彼の人生そのものが、そこにはあるんだ。
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