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記念すべき第一歩
2013 / 04 / 04 ( Thu )




そこから拠点へ入居(と言えるかどうか/笑)するまでは、少し時間がかかった。
二人は平日にはなかなか会えない。
もちろん、彼の仕事が遅いせいもあり、
ヒカル自身が夜忙しいせいもあった。



それに、部屋はまだただの空間で、何もない。
いつも二人で時を過ごした部屋のように、必要なものが揃っているわけではないのだ。



会ったときの二人の話題は、部屋に何を揃えるか、
そしてその街の話題が増えていった。
いつも二人が会う街の近くだけれど、
二人にとっては歩いたことのない未知の街。
街歩きが好きな二人には、それはそれなりに楽しい時間だった。



やっと迎えた二人の休日。
彼が契約してから初めて二人で行ったその場所は、雨が降っていた。
雨男の彼は、大事な日には雨が降る。



買ってきたばかりの電気を苦労しながら付けて、
部屋が明るくなったときは二人とも手を叩いて喜んだ。



まだ何もない部屋だけれど、新しい部屋と言うのは希望に満ちている。
新しい生活、新しい街。
そのどれもが未知数で、そして今度は二人でそれを分け合っていけるのだ。



部屋を借りてから、初めてのことがたくさんあった。
初めての二人で考えるレイアウト。
初めてのホームセンター。
それはおままごとのようだけれど、まるで子供のように楽しんだ。



たくさん買い物をして、配送の手配をする。
それが届くのはまた次の土曜まで持ち越し。



コンビニで紙カップ付きコーヒーを買って拠点に帰る途中、彼は言った。
「記念すべき第一歩や」



電気とカーテンとポットだけの部屋で、
コンビニで買った紙カップ付きのコーヒーを入れる。


買い物も思ったより安く済んで二人とも安心した。



何度も言うようだけどこれはただの拠点。
そんなにお金をかけることは出来ない。
ここでどちらかが生活をする、と言うわけではないので、今のところはこれで満ち足りる。



とは言え、足がかりにして何かを進めるには充分な空間。
そして二人が解放感を得るためにも、ありがたい空間...



彼は何もないフローリングに寝転がり、両手を広げた。
「思ったより広いな」とにこにこしている。
荷物が入ったらどうなるか分からんけど、と付け加えて。



そうして楽しい時間を過ごした後、
いつものようにお互い別れて自宅に向かう。



でも、これからはあの場所で会えるんだ。
あの場所に行けば、きっと彼に会えるんだ。
そう思うだけで、いつもの寂しさも半分くらい、消えた。



『今日はありがとう。これから時間を気にせず過ごせるね。
これからもよろしく』



ヒカルは、自宅の一人の寝室で彼のメールを見ながら、
そこよりずっと狭い、先ほど後にしたばかりの小さな小さな部屋を思った。
そしてホームセンターから戻ったときの、彼のびっしょり濡れた右肩を。



そこは、ただ眠るだけの今の寝室よりあたたかいものが流れている気がした。











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